常設展示


ZONE1「近つ飛鳥と国際交流」

東アジアの国々との交流を深めながら、日本は古代律令国家への道を歩んでいきました。

古墳時代~飛鳥時代、4世紀から 7世紀、日本列島には朝鮮半島や中国大陸との交流を通して、現在、渡来文化と呼ばれている、多くの技術や文化がもたらされた。多くの出土品はそのことを語っている。人々は様々な形でそれらの技術や文化をそれ以前にもまして取り入れ、日本古代律令国家成立への歩みを加速させた。

その当時、倭国と呼ばれた日本列島の国は、中国の史書「宋書」や「隋書」などに国際交流の跡を残す。日本列島内でも、鉄刀・鉄剣に刻まれた文字や様々な出土品から、国がとまっていく様子がわかる。

やがて、仏教思想や律令制度を取り入れ、文書政治による統治国家としての基礎を固める。近つ飛鳥にもその激動の時代が刻まれている。

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A.近つ飛鳥への招待

古墳時代の始まりの頃、王は豊富な副葬品と共に竪穴式石室に葬られます。三角縁神獣鏡に代表される多量の銅鏡は、死者の遺骸を包み込むように配置されます。
茨木市紫金山古墳に納められた豊富な副葬品の数々は、王の権威と支配関係を物語ります。

B.倭の五王と渡来文化

5世紀に中国へ使いを送った倭の5人の王。
「倭の五王」による交流は、中国大陸や朝鮮半島からさまざまな文物をもたらしました。
このコーナーではわが国にもたらされたさまざまな渡来系文物を展示しています。王権にかかわる刀剣銘文や、一須賀古墳群からの出土品を中心に多様な渡来文化をごらんいただけます。

C.聖徳太子の時代

飛鳥時代を代表する人物である聖徳太子。彼の墳墓は磯長谷叡福寺に残されています。
このコーナーでは聖徳太子が葬られた石室を、古い記録に基づき原寸大で復元し、聖徳太子が活躍した激動の時代を、文楽人形による映像資料も交えながら紹介します。

D.仏教文化の開花

飛鳥時代に花開くわが国の仏教文化。それは宗教のみならず、土木、建築、造瓦、金工などさまざまな技術と共にもたらされた渡来文化の結集でもありました。
このコーナーでは初期の瓦資料や四天王寺の復元模型などを通じて、華やかな仏教文化に迫ります。

E.文字の時代

日本列島における文字の普及。それは古代国家形成に大陸の文明が与えた大きな影響でもありました。文字によって残される記録。文字によって成り立つ支配関係。
このコーナーでは8世紀の役人たちが残した文字文化を、墓誌や墨書土器を通じて紹介します。

F.古墳の終わりと墓

前方後円墳から大型方墳、そして多角形墳へ。横穴式石室から横口式石槨へ。古墳時代の終幕を彩る終末期古墳は、墳丘や埋葬施設の様子を変化させながら、やがて終焉を迎えます。
このコーナーでは近つ飛鳥に集中して営まれた、多彩な終末期古墳の復元模型や出土資料を展示します。

ZONE2「古代国家の源流」

仁徳天皇陵古墳を頂点とする多くの古墳がつくられた時代に、日本古代律令国家の胎動が始まりました。

古墳時代、4世紀から6世紀の 300 年間、本州、四国、九州では各地に前方後円墳をはじめとする大小の古墳が多数つくられた。各地で古墳を築いた集団は、互いに政治的つながりを強め、あるいは反発しあいがら、しだいに大和や河内を中心とする政治勢力に統一され、後の古代律令国家へと変化していく。

その道程は一様ではない。朝鮮半島や中国大陸の様々な文化や技術を波状的に受け、その時々の日本列島内の実力に応じた様々な段階と変容を経ながら歩んでいった。

仁徳天皇陵古墳はその道程を示すシンボルである。

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A.竪穴式石室の世界

古墳時代の始まりの頃、王は豊富な副葬品と共に竪穴式石室に葬られます。三角縁神獣鏡に代表される多量の銅鏡は、死者の遺骸を包み込むように配置されます。
茨木市紫金山古墳に納められた豊富な副葬品の数々は、王の権威と支配関係を物語ります。

a.埴輪の世界

円筒埴輪と形象埴輪。古墳の周囲に立て並べられた埴輪からは、時期的な変化とともに、古墳時代の風俗を如実に知ることができます。
このコーナーでは人物や動物、家や武器・武具など多彩な形象埴輪の群像と共に、円筒埴輪の時期的な変化の様子をごらんいただけます。

B.王と民衆

5 世紀代、王権は豊富な鉄素材や新来の技術を背景に成長を続け、巨大な前方後円墳を造営するようになります。
このコーナーでは大王墓にみられる武器や武具を中心とした鉄製品の大量副葬の様子や、新しい産業の形成を示す出土資料から、王権の成長と、そのもとに構成される民衆の姿に迫ります。

b.古墳造営のムラ

いくつもの巨大前方後円墳を築造した人々はどのような生活を営んでいたのでしょうか。
ここでは古市古墳群で確認された古墳造営キャンプと目される遺跡と、古代の大型運搬具、「修羅」の使用を重ね合わせ、巨大古墳造営の具体的な様子に迫ります。

C.石棺

古墳時代の巨大な石棺は、限定される使用石材と、高度な加工技術から、まさに王の遺骸を葬るために造られた特別な「棺」でした。
ここでは前期にさかのぼる割竹形石棺から長持形石棺、そして家形石棺へと、古墳時代の石棺の変遷をみることができます。

c.横穴式石室の世界

古墳時代の後半、朝鮮半島から伝わった横穴式石室は埋葬施設の主流となっていきます。同時に副葬品の様子も大きく変化し、馬具や須恵器が石室内に納められるようになります。
また群集墳の発生と爆発的な展開は、古墳被葬者層の拡大と共に、社会関係の大きな変化を示しています。
ここでは茨木市南塚古墳と一須賀古墳群の副葬品の展示から、横穴式石室をめぐる、黄泉の世界を再現します。

D.大古墳の造営

巨大前方後円墳の真の姿とは。
ここではわが国最大の前方後円墳、仁徳陵古墳の築造時の姿を、周辺の陪冢群とともに150分の1の大きさで再現し、本当の古墳の姿をごらんいただけます。
またこの模型には古墳時代のさまざまな暮らしやものづくりの場面を、約3000体の人形を用いて復元しています。

ZONE3「現代科学と文化遺産」

現代科学は考古学の調査や研究に大きな力を発揮しています。

現在、様々な科学技術が修羅をはじめとする多くの文化財の保存や調査・分析に応用され、大きな成果をあげている。このゾーンではそれらの幾つかを取り上げ、その方法や成果を紹介する。これからもよりよい方法を開発し、より精緻に、より実証的に、よりわかりやすいものになるため、考古学は現代科学と共に進んでいく。

これは今あるものを未来に伝え、我々が過去・未来の人々と会話していくために欠かせない。

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A.修羅の保存

藤井寺市三ツ塚古墳の周濠から出土した「修羅」。
このわが国最大規模の出土木製品は最先端の保存科学と、 14年におよぶ歳月により、私たちの前にその姿をとどめることができるようになりました。

B.現代科学と考古学

現代の発掘調査や出土品の分析には科学技術の応用が不可欠です。
ここでは「水中遺跡調査」「地中レーダー探査」「X線撮影」「年輪年代の測定」「産地をさがす」を紹介します。